Maple Strategy

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第十七章 Way the shining of the star and also it is,…(後編)

Maple Strategy 17th chapter

Way the shining of the star and also it is,…

(訳)星の輝きと共にありますように…


あらすじ
 弩兵がレイチェルと契約するずっと前、「大戦」で父という家族を失った知夏。それから3年して、ヘネシスに1人の男が訪れる…





その日は何故か、星が暗く光って見えた

ヘネシスは、まあいわゆる田舎に属する町で、都市より星が綺麗に見える

なのに、その日の星は薄暗かった。月までもが黒く光って見えた

まるで誰かを弔うように

そんなことを考えながら星を眺めていると、荒っぽくドアが叩かれた。そして俺だ、開けてくれー、と声がする

誰だよ、俺って

静かに星を見ているのを邪魔されて少しふくれつつも立ち上がり、ドアを開けに行く。何だろう、新聞の集金かな

ドアを開けると、麦わら帽子が目に飛び込んできた。大剣を持っており、心なしか息切れしている
cda

何の用ですか、と聞く前に、向こうから口を開いてきた

スティル(以下ス)「えーと、神原知夏さん?」

知「そうですけど…誰ですか?」

ス「あ、俺?俺はスティル。スティル・ガーフィード。しがないナイトさ」

知「はあ…」

ス「ちょっと外でいいかな?」

知「はあ…」

そんな感じで連れ出された

暗い月明かりの下、二人の影がぼんやりと映し出される

どう話していいかわからずに困っている知夏に、スティルが話を振った

ス「あれからもう三年経つんだねぇ」

知「…はあ」

ス「君はもっと小さかったのに、美人になったねぇ」

知「…はあ」

何を言っているんだろう、この人は

何をしみじみと語っているんだ?

三年前?

知「!!」

とたんに様々な思い出が蘇ってきた

父の死、廃墟と化した町、剣士、バルログ、血…

知「あ、あなたはまさか…」

ス「あ、思い出してくれた?そう、あの時君をおもいきり蹴り飛ばした剣士さ「お嬢ちゃん」」

そのとき思い出だけでなくとんでもない憎しみも蘇ってきた

あの横腹の痛み…

ス「いやあ、それにしても本当に綺麗になったねぇ。あ、君の事だよ。どうだい?いっそ俺の嫁にならない?」

そう言って親指を立てる

ああ、殴りたい…

そんな衝動はとりあえず抑えて、静かに言う

知「結構です」

ス「あ、そう?それは残念…」

知「あの」

ス「ん?」

知「あの後…どうしたんですか?」

ス「あの後…ってのは俺が君を吹っ飛ばしてからの事かな?」

知「はい」

ス「………」

ス「あの後俺達は…」

知「達?」

話し始めようとするスティルをさっと知夏が制す

ス「ああ、そうか。君は気絶したんだったね」

知「…はい」

さらりと言い放つなよ…あんたが吹っ飛ばしたんでしょうか!

そんな知夏の心の叫びは無視してスティルが続ける

ス「実はもう一人いてね。アリスっていうコントラクター。アリス・スクラード。結構名の通ったプリーストだよ」

そういうスティルの顔は曇っていた

ス「あの後俺等二人は見方を後陣から引かせてその間にバルログと対峙した」

知「・・・」

ス「約20分の攻防だったよ。俺が突っ込んで、ダメージを喰らったらヒールで回復、それの繰り返し」

知「・・・」

ス「バルログと言ってもしょせんプロトタイプ。攻撃力も防御力も段違いさ。あれに比べれば…」

知「あれとは?」

ス「ビクトリア争奪戦の三日後に中央ダンジョンスリーピーウッドの中枢「聖殿」において如月銀河というコントラクターが「本物」の冥府王と対戦した…聞いたことないかい?」

ううん、と首を横に振る

ス「そうか…まあ君は「まだ」違うからな…さて」

うつむけた顔をすっと上げて、生真面目な顔でスティルが言う

ス「本題に入ろうか」

知「本題?」

ス「俺もなにぶん忙しい身でね…昔話ばかりしてる暇はないんだよ」

知「はあ…」

ス「そうだなええと、何から話せばいいかな」

アルフィナ(スティルの契約王。以下ア)「アリスの事から話せばいい」

突然スティルの近くから、彼のような低くくぐもった声ではなく、高く朗らかな声が聞こえてきた

知「?」

ス「ああそうだな。うん、そうしよう」

しかし、あまりにも話し方が似ていたし、すぐに低い声で遮られてしまったので、知夏は一人で喋っているのだろうと思っていた

ス「…さっき話したアリスの事なんだが」

知「はい」

ス「実は「破滅希望者達」の生き残りの重臣、ヴァルクドと戦って…」

知「ストップ」

ス「ん?どうした?」

知「質問。何がなんだかよくわからないんですけど」

ス「あー、そうか;そりゃそうだよな」

まあ正論である。そっちの事を何も知らないどしろーとにいきなり王だの契約者だの破滅希望者達だの言ってもさっぱりわけわかめなのはわかりきったことである

それに気づかずに喋り続けたスティルもスティルだが、今まで指摘しなかった知夏も知夏である

知「まず、「王」って何ですか」

ス「正式には「魂の王」といってね、この世界に特別な思い入れがあるまま死んだ能力者が「魂の絶対世界」と言う別世界へ渡って、魂となり、この世界へと戻ってくるんだ」

知「ふんふん」

ス「他には?」

知「契約者って何?」

ス「契約者は、まあ言えば王と同じだ。いざ王がこちらの世界へ来ても肉体がなければ何もできない。だから資質のある能力者の体を借りて、それで動くわけだ。っつても支配権は自分にあるから、王は命令したりできるだけで実際に体を動かすことはできない。その王の魂を取り込んだ能力者を「契約者」と呼ぶ」

知「なるほど」

ス「他には?」

知「「破滅希望者達」って何?」

ス「一般的に王は自分がやり残したことを実行しようとするわけだが、それをやり遂げると王自身は消えてしまう。だからのらりくらりと目的を達成させながらこの世界の治安が乱れないようにしている。そんな中で
、それの真逆の事を始めたのが「破滅希望者達」だ。徹底的に世界バランスを崩壊させて四大陸を統一、支配しようとしている」

知「なるほど」

ス「我々王側と破滅希望者達側はちょくちょく小競り合いをしていたが、三年前に終に正面衝突し、世紀最大の戦い「大戦」が起こった」

知「・・・」

ス「リプレ大陸は当時発見されておらず、ビクトリア、オシリア、ルディブリオムの三大陸で戦力をぶつけての争奪戦が始まった」

知「・・・」

胸が痛い

なんでこんな気持ちになるんだろう

ス「結果ビクトリア戦では敗退したが銀河が「破滅希望者達」の切り札とされていたバルログを倒したせいで向こうは士気が落ちてオシリア、ルディブリオム戦で大勝し、「破滅希望者達」は滅んだ」

知「・・・」

ス「しかしこの「大戦」で王側は甚大な被害をこうむった。たくさんな優秀な契約者が死んだし、今では契約者の数は三年前の8割も減ってしまった」

知「でも…、今は平穏ですよ?」

ス「そう、しかも王の最強の三人「三王」は銀河ペア以外、補佐機関「五冠」五人は全員生き残った。しかし…」

知「しかし?」

ス「話を戻そう。先日「破滅希望者達」にいた王、残党のヴァルクドに、五冠の一人、俺と共にプロトタイプバルログを倒し、銀河の聖殿入りwp手助けした契約者「憤怒の極み」アリスが殺された」

知「・・・!!」

ス「そこで君にこれを渡したい」

スティルがポケットから出したのは銀でできた冠だった。あちこちに血が付着しており、中央でルビーがさんさんと輝いている

知「これは…?」

ス「陰のサークレットと言ってね、アリスが身に着けていたものさ…さ、ヒューリ」

ヒューリ・R・キース(以下ヒ)「わかってる」

知「!?」

いきなり冠から声が聞こえてきて、知夏は目を丸くした

ス「いっただろう?魂を取り込む…と」

知「つ、つまりこの人…いや、この王はこの冠にとりついていると…?」

ス「まぁそういうことだ。「転生」と言うやつだ」

知「す、すごい…」

ス「それともうひとつ…」

スティルがポケットから手を出した。そこに乗っていた物は、酷く痛んでいた。金でできた縁はあちこちが剥がれ、レンズは白く曇っている

しかし、知夏はそれを見たことがあった。否、何度も見ていた

急いでそばへ寄って手にとって見る。思ったとおり、側面に英語で「Jerker」と彫られていた。

知「ジェルカー…!」


「ジェルカー」は元は裕漸が着けていた金と白で作られた片眼鏡(モノクル)だった。

ス「君のお父さんを埋葬しているときにポケットから転がり落ちたものだよ。それが唯一残った遺品だよ」

ジェルカーは暖かく、まるで裕漸の魂が篭っているかのようだった

ス「さて、お嬢ちゃん」

知「は、はぃ」

ス「ヒューリの話を聞いてやってくれ」

と、またサークレットから声がする

ヒ「改めて、初めまして。「星の束ね人」ヒューリ・R・キースです」

知「ど、どうも…」

ヒ「星好きのあなたなら気づいているかも知れませんが、今夜は随分星が暗いでしょう」

知「は、はい。月までもが黒く光って見えます」

ヒ「アリスとのリンクが離れて力を失いつつあるのです」

知「・・・!」

ヒ「私は三年前にメテオに臆せず突っ込むあなたにアリスと同じ何かを感じました…」

知「は、はい」

ヒ「私はあなたにプリーストの資質を感じます」

知「プリースト…とは?」

ヒ「魔法使い、クレリックの上級職、回復と補助に徹する職業です」

知「私のような田舎の人間が魔法使いに…?」

ヒ「職に身分や出身は関係ありません。本人にどれだけのやる気があるかです」

知「・・・・・・」

正直、知夏は魔法使いに憧れていた

父は弓使いを薦めたが弓にはなじめず、かといって盗賊のような俊敏性もなく、戦士のように重い剣を振るうこともできなかった

だから、憧れていた

常に後ろから味方を支えるエース的存在

ずっとずっと、憧れていた

魔法使いになるとすると、故郷ヘネシスを捨てなくてはならない

もし120年前の「大戦」のような戦いが再び起これば、今度は自分も参加しなければならない

しかし、人事ではない

自分が何とかしなければ

自分自身で生きていかなければ

父の墓標の前でそう誓った知夏は、決心を固めて、言った

知「私は―魔法使いになる」

そこでヒューリがそう、と安堵の言葉を漏らした

ヒ「ここでお願いします」

知「はい」

ヒ「私と契約して下さい」

知「・・・はい」

既にさいは投げられた

あとは進むのみである

少しの間をおいて、サークレットから薄い青の炎が上がり、ジェルカーの中へと入っていった

知「・・・!!」

取り残されたサークレットが黒い月明かりを受けて、虚しく輝いていた

新たにジェルカーへと入ったヒューリが寂しそうに言う

ヒ「スティル」

ス「ん」

ヒ「サークレットを、捨てて」

ス「・・・いいのか?」

ヒ「ええ、いつまでも過去にしがみついてはいられない」

ス「わかった」

ゆっくりと、サークレットをスティルが拾う

やはりスティルもさみしそうな表情を浮かべつつも振りかぶり、投げる

サークレットは見事に弧を描き、ヘネシス運河の中央付近に落ちた

ポチャン…と音がする

余韻が消えた後、ヒューリが言う

ヒ「契約を開始します」

こくり、と頷いて前へ出る

使いなよ、とスティルが短刀を貸してくれた




ヒ「すべてを受け入れ」


知「すべてを使い」


ヒ「すべてを賭して」


知「すべてを散らす」


言い終わると同時に親指を切り、ジェルカーへと血をかけ、叫ぶ








われ魂の王との契約を施行する!!!!!!!!!!!





次の瞬間…




カッ!!!!!


耳を劈くすざましい音が鳴り響き、頭上で幾多数多、色取り取りの星々が一斉に乱れ飛んだ


、黒、浅葱

まるで私を祝福するかのように、乱れ飛んでいる





カッ!!!!!!



また耳を劈く音がして今までどす黒く染まっていた空が見事なまでの漆黒に塗り替えられる

半分以上雲に隠れて黒く光っていた月も今では白光のようにさんさんと輝き、白い月光を降り注がせていた

北斗七星が割れんばかりに輝き、星々も通常の二等星くらい上の光を放っていた


知「すごい・・・」

思わず感嘆の声を漏らす

ス「これが星の束ね人たる由縁か…」

息を呑みつつスティルも見とれている

ヒ「神原知夏」

知「は、はいっ!」

いきなり呼ばれてとびあがりそうになりつつも答える

ヒ「今日あなたは私と正式に契約しました。ここで契約ネームを与えます」

知「契約ネーム…」

ヒ「私とあなたは一心同体。離れる事はありません。生けるとき、死せるとき、全てを共にします。ずっとずっと、進み続ける。何があっても、進み続ける。絶対に、止まらない…五冠「星の束ね人」の契約者、「永遠の旅人」知夏―」







「永遠の旅人」神原知夏の、誕生だった

これが、120年前の話







`;:゙;`;:゙;`;:゙;`ヽ(゚∀゚ゞ)ガハッ。も、もう駄目ですorzもう書けません、死にそうっす;な、なんとも長かった…「第十章、120年前の軌跡」並みのボリュームあるでしょう…。おぇ、疲れた;み、皆様ごきげんよう…もう寝ます   でゎ

P.S曲がやっと変わりました。今回は「全てを賭けて」です。メニューバーの「月代わり音楽」からどうぞー













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